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第10回 女みこし開催報告
「第61回東京阿波おどり」開催でまちが賑わう2017年8月27日(日)、「第10回高円寺あづま通り女みこし」が行われました。記念すべき10周年ということもあってか、神輿に祀られている氷川神社の末社、気象神社のご利益でしょうか、3年ぶりの晴天に恵まれました。
例年通り、高円寺北二丁目町会の御神酒所近くにある、女性のためのスポーツクラブ「カーブス高円寺」さんには、半纏や帯、パッチ、足袋などの祭り装束が用意され、第1回目から担ぎ手として参加している店長の真壁さんが初めての人にも不安がないよう声掛けしてくれていました。
11時半の集合時間近くなると、着替え終わった担ぎ手さんたちが次々と集まってきました。
御神酒所前にはずらりと氷川神社例大祭奉納者の企業名や氏名が並んでおり、この祭事を支えてくれる町会の人たちの想いが伝わってくるよう。それだけに、今年10回目となる「高円寺あづま通り女みこし」を成功させねばなりません。
御神酒所前で神輿の準備が進められる一方で、御神酒所内では、高円寺北二丁目町会・婦人会の方々が、料理や飲み物の準備や子供神輿・山車の法被やお菓子を揃えるため、イベントを支える裏方として忙しく立ち働く姿が見られました。
御神酒所に集まった担ぎ手さんたちは、婦人会の方がご用意してくれた軽食をとり、まずエネルギー補給。今年は前年より暑かったこともあり、ビールでパワーチャージするベテランさんたちも。昨年は36名の参加でしたが、今年は定員50名揃い、大所帯での巡幸となります。そのため、高嶋神輿部長に加え、ベテランの山内さんがリーダーとなって、担ぎ手さんたちをサポートすることとなりました。
毎年、高円寺あづま通り女みこしを牽引してくれる「平安祭典」チームや「城南信金」チーム、そして今年は“縁の下の力持ち”として男性陣のみの参加となった「西武信金」チームなど協賛企業の方々も勢揃い。担ぎ手の女性陣が多いだけに、巡幸時の誘導や神輿を置く馬を運ぶ力仕事をこなしてくれる男性陣の力は大きな助けとなるのです。
今年も神輿を担いだ経験がない人も多数参加しており、その中には外国人の参加者も。台湾生まれのマルコさんです。気合もメイクもバッチリ。周りの人たちにあっという間に溶け込んでいました。御神酒所での軽食タイムで初対面の人も外国人の方も、一つのイベントを盛り上げるチームのメンバーとして一気に親しくなるのは恒例となっているようです。
12時30分、出発式のスタートです。高円寺北二丁目町会・顧問の五味さんの司会で、槻木町会長の挨拶、そして今年からあづま通り商店会の会長となった芳山さん、昨年まで会長だった現・顧問の由井さんの挨拶と続きます。新会長の芳山さんからは、10周年を記念したうちわを製作したこと、顧問の由井さんからは「2020年オリンピックのセレモニーとして、高円寺あづま通り女みこしの参加を目指している」ことが語られました。
それを踏まえ、今年はまず担ぎ手の女性陣のみでの集合写真撮影。続いて、全員での撮影となりましたが、参加人数が例年より多かったこともあって、集合写真は微笑ましいほどのすし詰め状態です。撮影した写真は、神輿巡幸後の直会(打ち上げ)時に、プリントして参加者に配られます。
撮影後は早速、高嶋神輿部長の合図と共に神輿を上げ、リーダーの山内さんが担ぎ方や歩き方の簡単なレクチャーを行いました。巡幸中も適宜アドバイスを入れ、巡幸スピードや進む方向のコントロールに気を配ってくれました。頼もしいお姉さまです。いよいよ「第10回高円寺あづま通り女みこし」巡幸開始。高円寺北二丁目町会・婦人会の皆さんも、いろいろな準備が忙しい中、見送りに出てきてくれました。
最初はどうしても“地面を蹴るように進む”という神輿の担ぎ方に慣れていない初心者の人に、ベテランさんたちがその都度アドバイスしながら、神輿がただ前へ前へと進まないよう調整。担ぎ手さんの疲れ具合にも配慮しながら、担ぎ手を交替する体制も円滑です。無事に最初の休憩所である「りそな銀行」さん前に12時35分頃、到着しました。
小休止後は、「高円寺あづま通り女みこし」の第一の見せ場であるJR高円寺駅構内の巡幸となります。国内でもめずらしいJR駅構内の神輿巡幸は、毎年多くの人たちが撮影待ちするポイントでもあるのです。改札前で、神輿を大きく揉むこともあって、主にベテラン勢の担ぎ手で固め、北口ロータリーへと向かいました。
今年は、神輿巡幸前から、“撮影ポイントでは苦しくても女優のような笑顔で”とお願いしていたこともあってか、大きく神輿を揉む改札前でも皆さん満面の笑み。見事な女優振りでした。神輿を囲んで盛り上げる人たちも精いっぱい声を出し、うちわを振って応援。
JR高円寺駅構内での神輿巡幸には、意外と技術が必要になります。その理由は、あくまで通行者として“止まらず、速過ぎず”通過しなければならず、そのスピード調整を行うと同時に“短時間内で盛り上げる”という、ふたつの要素が求められるからです。
JR高円寺駅を通過し、駅南口ロータリーに出た後は、そこから南側にある氷川神社に向け左折。神輿を止めず、JR高円寺駅構内での見せ場を果たした担ぎ手さんと交替しながら、氷川神社境内に宮入しました。
氷川神社の社殿前に神輿を置き、商店会長が玉串を奉納し、参加者全員が低頭し参拝、宮司さんによるお祓いが行われます。神輿巡幸で盛り上がっていた担ぎ手さんたちも宮司さんのお祓いで厳かなムードに。多くの露店は並んでいるものの、駅近とは思えない緑豊かな境内の神聖な雰囲気が心地よく感じられます。
氷川神社での宮入・参拝を終えた後は、神社近くで2度目の休憩。「高円寺あづま通り女みこし」に続いて、氷川神社で参拝を行う庚申通り商店会の男神輿もやってきました。JR高円寺駅構内通過と氷川神社参拝というミッションを終えた担ぎ手さんたちに、補給部隊が水やビール、唐揚げやコロッケなどを配り、労います。今年は暑かったこともあってか、水やお茶のニーズが多く、追加で買い出しに行ってくれました。
氷川神社出発の後は、最大の見せ場とも言えるJR高円寺駅北口ロータリーで行われる、庚申通り商店会の男神輿との競演が待っているため、先ほどよりは少し長めの休憩をとります。
「高円寺あづま通り女みこし」の撮影に訪れた外国人観光客の方とのコミュニケーションもあり、“わっしょい”の意味を質問されました。外国人の来場者は今後も増えると思われるので、神輿についての最低限の説明ができる程度の英会話もこれからは必要となるかもしれません。「高円寺あづま通り女みこし」もグローバル化したものです。
13時50分の定刻通り、氷川神社前をスタート。南口ロータリーから、今度はJR線の高架下をくぐって北口ロータリーへと向かい、高架下の巡幸も難なくクリアしました。
また昨年は一旦、北口ロータリーの外れで小休止をしましたが、今年は担ぎ手の人数も多いことから一気にロータリー周回の神輿競演へと突入。車道を周回するため、警察の方々が神輿周辺をがっつりガード。昨年に比べ安心して神輿巡幸が行えた気がします。
回を重ねるごとにスムーズで安全な神輿巡幸の対応策を練っているため、神輿初体験の担ぎ手さんにとっては、年々参加しやすいイベントへと進化しているようです。
ロータリーを一周した後は、そのまま純情商店街へ。純情商店街は阿波おどりの演舞場となっているため、場所取りしている人たちも少なくありません。すでにお酒も入っていてノリノリの沿道の人たちからは多くの声援が送られ、一緒にうちわを振って「わっしょい、わっしょい!」と掛け声を共にしてくれる人たちも多数。“高円寺の人たちの温かさ”がダイレクトに実感できます。
14時20分頃、純情商店街で再び20分間の休憩。この後は東に進み、いよいよあづま通りでの巡幸となるのです。補給部隊の方々が唐揚げや飲み物を用意してくれましたが、またしても水とお茶が足りなくなり、追加で買ってきてくれました。それくらい、今年は晴天に恵まれた分、水分補給が重要だったのです。最後まで一人も熱中症や脱水症状で離脱する人がいなかったのも、補給部隊の方々の努力の賜物と言えるでしょう。
14時40分、「ホビーオフ」さんの前を出発。担ぎ手さんが50名いることもあって、気温は例年より暑い環境下ではありましたが、それほど表情に疲れを見せる人がなく、「あづま通り商店会」沿道の人たちに元気な姿を見せられそうです。
「高円寺あづま通り女みこし」のホームグラウンドである「あづま通り商店会」に入ると、これまでにない歓迎ぶり。軒を連ねる各店舗の人たちはもちろん、家の中にいた人たちも神輿を一目見ようと沿道に出てきて、担ぎ手の人たちに声援や拍手を送ります。今年はとくにその人数が多かったように思われます。
「あづま通り商店会」は、古書店やレコード店、玩具店といったレトロな雰囲気の中にも、個性的なカフェや飲食店が共存している“元気な商店街”です。店舗前に椅子を置いて神輿を応援する人、担ぎ手さん一人ひとりに一口大のお肉を口に運んでくれる人、浴衣姿の人たち…、「あづま通り商店会」の人たちの温かさ、人情味をぜひ写真から感じていただければ幸いです。
神輿はそんな「あづま通り商店会」を北に向かい、最北である早稲田通りへ。信号が青になった瞬間、車道で180度Uターンし、元来た道を戻ります。
帰りも大きな声援に包まれ、担ぎ手も商店街の人たちも笑顔・笑顔・笑顔!
「やきとりSugi」さんの隣にある、金運や商売繁盛の神様「入利弁天」様も元気に通過!
途中、最後の休憩地点となる「林医院」さんの前で15時10分から30分まで神輿を下ろし、水分&エネルギー補給をしつつ、記念撮影をしている姿も見受けられました。
例年は、この場所で高円寺北二丁目町会の子供神輿と山車が通過するのですが、今年は少し早めの通過となったようで、“日本一”の幟を背にした桃太郎さんが颯爽と立つ山車は見られなかったのが、ちょっと残念です。
そして、「林医院」さんから少し進んだ「福屋クリーニング」さんの前では、恒例の“ガリガリ君”でラストスパートの英気を養い、その後はあづま通り商店会の南の外れまで行き、JRの高架沿いに進み、「平安祭典」さんから御神酒所に戻るコースとなります。
15時50分、「福屋クリーニング」さんの前をスタートし、あづま通り商店会を出て左折、JR沿いの車道を進み「平安祭典」さんへ。見上げると、澄み渡った青空に神輿の鳳凰が輝いていました。それにも増して輝いていたのが担ぎ手さんたちの笑顔!
「平安祭典」さんの前で再び神輿を揉み、そこからはしずしずと御神酒所へ。
到着予定は16時00分でしたが、16時20分と時間が押していたため、急ぎ「カーブス高円寺」さんで着替え、16時20分から行われる「平安祭典」さんで行われる打ち上げ会場へダッシュです。「カーブス高円寺」さんと「平安祭典」さんは向かいにあるので、着替えから打ち上げまでの流れもスムーズです。
約30分遅れで打ち上げ開始。会場のモニターには神輿巡幸中の映像が流れ、巡幸前に撮影した写真が配られました。
10周年ということもあってか、「平安祭典」さんにご提供いただいたお料理の数々はいつにも増して豪華。色鮮やかな料理の写真をスマホに収める人たちも多数。会場が華やぎに包まれました。「平安祭典」チームは、神輿装束から普段着に着替えてサービスした後は、「阿波おどり」のスタッフにも駆り出されているそうで、そのバイタリティに頭が下がる思いです。
食事が一段落したところで、高円寺北二丁目町会の槻木町会長の挨拶に続き、芳山商店会長の挨拶があり、今年はベテランの担ぎ手として神輿巡幸をリードしてくれた浜田さんから「高円寺あづま通り女みこし」をさらに進化させるための企画を発表がありました。
これからは参加者が登録できるネットワークを構築し、神輿だけでなく、オフ会なども行っていくことで、今後の高円寺の発展へと結び付けたいという、これからが楽しみな企画でした。
そして17時半、あづま通り商店会顧問の由井さんの三本締めで「第10回高円寺あづま通り女みこし」は無事終了。来年はどんな企画や演出が待っているのか、どうぞご期待ください。